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蜩(ヒグラシ)の宿─にの江大江戸人情帳─

第3章 養子騒動編


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恋太郎「ちょーちょ、ちぃかにおしょー!」



それを、また恋太郎ちゃんが可愛く真似て、うるさい二人に声を掛ける

それを聞いた雅吉は、妙に嬉しそうにへらへら笑いながら

大倉さんの脇腹の辺りを肘でつついた



雅吉「ほら、お前がグズグズ言ってやがるから、にの江と恋太郎に怒られたじゃねぇかぃ!」

大倉「Σせ、拙者で御座るかっ!?(汗)」

にの江「……二人とも、だよ、このお馬鹿が(怒)」

恋太郎「このぉ、おばはは!!」

雅吉「あっはっはっは、また怒られちまったぃ!(笑)」



雅吉は愉快そうに豪快な笑い声をあげると、母屋に続く通路の戸に手をかけた



雅吉「……さて、お遊びはここまでだぜぃ

こっから先は、いつこの屋敷の侍に出会すか知れねぇからな

にの江

俺の傍から離れるんじゃあねぇぜ」

にの江「なんだぃ急に真面目になりやがって……そんなコト、解ってますょ///」



急に凛々しくなった亭主を見て、不覚にも顔が赤くなる


雅吉は、そんなあたしの肩を軽くポンと叩くと

にっこりと笑った



雅吉「んじゃあ、行くとするか

良いな、忠義の」

大倉「はい、相葉さん」

恋太郎「あぃ、あーばたん!」

雅吉「はっはっはっはっ!良い返事だがなぁ、恋太郎

お前は、しっかりとお宿のおっかさんに掴まってなょ?」

恋太郎「おっかしゃん!!」

にの江「!!…………////」

雅吉「……行くぜ?」

にの江「………あぃよ///」



恋太郎ちゃんに“おっかさん”と呼ばれて、また顔を赤らめるあたしを見て、優しく微笑むと

雅吉は、静かに母屋へ続く通路の戸を開けた



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