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蜩(ヒグラシ)の宿─にの江大江戸人情帳─

第3章 養子騒動編


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にの江「それにしてもお智ちゃん…いくら何でも、帰りが遅すぎやしなぃかねぇ…」





翔吾さんが倒れそうになりながらフラフラと帰って行った後

あたしらは蜩のお宿でお智ちゃんの帰りを待っていた


恋太郎ちゃんはお利口で、むずかったりする事もなく、雅吉と大倉さんにたんと遊んで貰った後は

あたしに抱っこされて、すやすやと眠ってしまっていた


そうこうしている内に、すっかり日が暮れてしまったのだが

お智ちゃんが帰って来る気配は一向に無かった





にの江「まさか、お智ちゃん、お屋敷から出られなくされてるんじゃなぃだろうねぇ」

雅吉「まあ、そう考えるのが、一番合点が行ぁあな」

大倉「Σた、大変じゃないですかっ!!呑気に待ってないで此処はやはりお屋敷に乗り込みましょうッ!!!(汗)」



雅吉の言葉に、大倉さんがまた騒ぎ出す

あたしはそんな大倉さんを横目で睨んで言った



にの江「ちょぃと、大声を出すんじゃなぃよ!

恋太郎ちゃんが起きちまぅじゃなぃかぃ!」

大倉「あ、コレは……面目ない(汗)」

雅吉「まあまあまあ、そう皆でイライラと目くじらを立てても仕方ないやな!

此処は、向こうの出方を伺って待つしかねぇよ」

にの江「…そうさねぇ…」


─ガラガラッ

「まぃどぉ、お邪魔しますでぇ!にの江さんに文で御座いやっさぁ!!」



ただ待つだけってのは性に合わないんだけど、なんてため息をついている所で

玄関先から威勢の良い声がした



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