第3章 養子騒動編
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─一方その頃・大名家の下屋敷─
ちょっとお待ち下さいと言われたきり、奥座敷に取り残されたお智ちゃんが
痺れを切らせて家の者を呼んでいるみたいです
お智「だれかっ!だれか居らぬか!」
家臣「………これは、お待たせして申し訳御座いませぬ、智子姫様」
お智「一体どう言う了見なのです。
急ぎ呼び出しておいて、このように待たせるなど、無礼ではありませんか」
家臣「いや、智子姫様のお怒りはごもっともで御座いますが、我らにも色々と事情が御座いまして…」
お智「事情?」
家臣「はい、その事情をお話しする前に、智子姫様のお耳に入れておかねばならぬ内密の話が御座います」
智「内密の話ですか?」
家臣「作用で御座います
実は、一年前お国入りをした若様が、病に倒れあそばして長く伏せっておいでだと言う話は、智子姫様もご存知だと思うのですが…
…あれは、嘘に御座います」
お智「なんと、嘘と申すか!?」
家臣「はい、若様はご病気ではなく、一年前、お国入りして早々に
海を珍しがって、荒れているので危のう御座いますと止めるのを聞かず、数人の家臣を連れて海に出られて…
…そのまま、行方知れずになってしまったので御座います」
お智「まあっ…!!///」
家臣「それでその数日後
若様と一緒に海に出た家臣数人の亡骸が浜辺に打ち上げられておったのですが、若様のお姿は無く
お国入りして早々に行方知れずになったと知れたら一大事だと言うことで
表向きは、病気で伏せっていると言うことにしてあるのです」
なんと、若様は病気で伏せっていると言うのは嘘で、行方知れずに!?
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