第3章 養子騒動編
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にの江「……全く、何て顔しやがるんだぃ。(苦笑)」
翔吾「だってぇえ〜〜〜(号泣)」
にの江「グズグズお言いでないょ!
恋太郎ちゃんは、あたしがお智ちゃんから預かったんだから
お智ちゃんが戻るまであたしが預かるのが筋ってもんさ!」
翔吾「そ、そんな乱暴な…あたしは恋太郎の父親ですょ〜(泣)」
大袈裟に、よよよとばかりに泣き崩れる翔吾さん
あたしは恋太郎ちゃんを抱いたまま、妙に芝居がかって泣いている若旦那に背を向けた
にの江「……良いじゃなぃのさ、ちょっと位、おっかさんになった気分を味合わせとくれよ」
翔吾「………」
背中に、鼻を啜り上げる翔吾さんの視線を感じながら
あたしは振り向かずに言った
にの江「たまにはさ……アンタ1人で羽を伸ばすのも、悪くなぃだろ」
翔吾「………お智ちゃんは、何時戻るって言っておりましたか?」
背中を向けたままのあたしに、翔吾さんが鼻を啜りながら訊く
にの江「そうさね、良くは解らないけど、混み合った話があるみたいだから
下手をすると日を跨いじまうかも知れないねぇ
…でも、ご実家の大名家に居るんだ、心配は要らないよ」
翔吾「……………………そうですか、解りました
では、お智ちゃんが戻りますまで、恋太郎を宜しく頼みます」
にの江「あぃよ。任せときな」
恋太郎「あぁぃよ!まぁちぇとちら!!」
あたしの腕の中の恋太郎ちゃんが、またあたしの口真似をした
それを聞いた翔吾さんは少しクスリと笑うと、恋太郎ちゃんに言った
翔吾「じゃあね、恋太郎。父様は先に家に帰ってますからね
良い子で母様の帰りを待つんだょ?」
恋太郎「まちゅんらよ!」
翔吾「……では、本当に……宜しくお願い申し上げます……」
翔吾さんはそう言って立ち上がると、今にも倒れそうなくらいにヨレヨレとふらつきながら帰って行った
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