第1章 純情恋物語編
にの江「丁度良いじゃないのさ、お智ちゃん。
病気のおとっつぁんに精を付けてやんな」
菓子折りを握らされて困惑した顔をしているお智ちゃんにそう言って声を掛けると
翔吾さんが早速食い付いた
翔吾「Σびょ、病気のおとっつぁん!?」
お智「……姉さん………あの、実は……」
お智ちゃんは、おとっつぁんの話が出た途端に悲しそうに俯いて、小さな声で言った
お智「……ご相談したいコトって、実は、父上のコトなんです///」
翔吾「Σ何ですか!?あああたしに出来る事なら何でも…」
にの江「アンタに相談してんじゃないだろ!全く……
なんだぃ?潤之助さんがどうかしたのかぃ?」
お智「……えぇ///」
お智ちゃんは俯いたまま、相変わらず小さな声で言った
お智「……病気自体は大した病じゃないのだけれど…
…用立つものがなくて、お薬が買えないんです…
…それで……」
翔吾「Σくくく薬ッ!!!////」
にの江「………(苦笑)」
盛大に両手を突き上げて叫ぶ翔吾さん
コレにはお智ちゃんも驚いて顔を上げた
お智「ど、どうされたのですか?///」
翔吾「いやはや!コレはきっと吉祥天様の巡り合わせに違いありません!!あたしはこう見えて薬種問屋の若旦那!恩人の貴女にお薬をご用立て致しましょう!!」
(吉祥天ねぇ(苦笑))
お坊っちゃんの癖に巧いこと言いやがるなんてちょっと感心していたら、お智ちゃんが困ったような顔であたしを見た
お智「に、にの江姉さん…///」
にの江「良いじゃないか、このヒトがそう言ってるんだから、甘えておやりよ」
お智「でも…///」
翔吾「そうですよ、おっ…おおお智さん!世は情け、困った時はお互い様で御座いますよ!!!///」
お智「……///」
上目遣いで伺うようにあたしを見るお智ちゃん
あたしはそんなお智ちゃんに、ゆっくり頷いて見せた