第1章 純情恋物語編
お智「で、では…お言葉に甘えて///」
翔吾「そうです、そうです、甘えて下さいましっ!!!///」
お智ちゃんの背中を押して店を出て行く翔吾さん
と
お智ちゃんが背中を押されながら振り向いて言った
お智「あ、あの、にの江姉さん……御亭主様にも、宜しくお伝え下さいまし。
お陰様でお薬を頂けるコトになりました、と///」
にの江「何でうちのボンクラ亭主が出てくんだぃ?」
お智「それが、今朝方うちにお見舞いに来て下さって、難儀な事はないか、薬は足りているかと仰って…
もし、難儀しているなら、にの江が何とかしてくれるから、今日の昼前位ににの江を訪ねて行け、と…」
にの江「…はぁっ!?」
何でわざわざ昼前に…
翔吾「…そう言や、あたしも兄さんに、傘を返しに行くなら昼前にしろと言われたっけな」
にの江「兄さん?」
顎に手を当てながら、今度は翔吾さんが言った
翔吾「いぇ、兄さんと言ってもあたしが勝手にそう呼んでるだけなんですけどね?
知り合いに、粋で鯔背な遊び人の兄さんが居まして、その雅吉兄さんが…」
にの江「雅吉だってぇ?!」
翔吾「…ほぇ?」
(全く、あのお節介焼きは何をやってんだか…)
にの江「…野郎の吉祥天なんざ、聞いた事がないょ」
翔吾「へ?」
にの江「…こっちの話さ」
あたしは腕組みして、同じ様にポカンとあたしの顔を見ている若い二人を見た
(……でも、案外、お似合いかも知れないねぇ(笑))
あたしは笑いながら二人に声を掛けた
にの江「ほら、良いから早くお行き!お智ちゃんのおとっつぁんが心配してるよ!
あぁ、それと翔吾さん、しっかりお智ちゃんを家まで送り届けておくれょね」
翔吾「はいっ!!///」
お智「…有り難う御座いました、にの江姉さん///」
にの江「はぃよ、気を付けてお帰りね、お智ちゃん」
若い二人は、何度も振り向いては頭を下げつつ
この先にあると言う、翔吾さんの薬種問屋へ向かって行った