第190章 証拠なき家庭内裁判
私は東堂さんに深く頭を下げます。
「私の従兄弟や母はこの子を流せと言いますが…
どんな事があろうと私は産みたいです…
この子に私の全てを与えても
この命に変えても絶対に!
だからどうか…悟さんを説得してくださいませんか?
この子は絶対に流さないって……」
東堂
「その事だが、
嫁の元に来る前に五条に逢って話をしてきた。
驚いてたぞアイツ
まさか自分を飛び越えて
俺にSOSの連絡がいったって事にな。
この連絡が来るまで
お前らは不釣り合いながらも上手くやっていたと
俺は思っていたがそうでは無かったのだな。
お互い真剣に向き合えてねぇー
悪いことは言わねぇー
産みたきゃ五条から離れろ。
子供達からも距離を取れ…
自分でも分かってるんだろ?
もう既に…手遅れになる手前まで
記憶も…判断力も…なにもかも
衰え始めてることを。」
「……」
お月様をバックに東堂さんが
私を鋭い眼光で見つめながら
ハッキリとそう仰いました。
「わたし…そんなにおかしいですか……」
東堂
「わからん!」
「え?」
東堂
「俺はお前をおかしいとは思わないが、
お前が自分をおかしいと思うなら
そうなのだろう?
ならば簡単な話だ降ろしたくなければ
五条と離れ、負担を減らすために子供らとも離れ
腹の子に一生懸命になれば良いさ。
子1人くらいなら嫁ならば育てあげられるだろう?
俺も出来ることはやってやる。
あとは嫁…お前が決める事だ!」
東堂さんは決して甘えさせない問い方を
私にしてきました。
おそらく"ある一定の距離"をとりつつ
だけど精一杯寄り添ってくれた問いかけですね。
私はこの問いかけに答えないと
事態は解決の方向にはいかないと思いました。