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やさしい雨の唄(仮)

第1章 出会い



 そんなこんな。片目がないじいさんに扱かれ数か月。ガキの護衛であることなんて忘れかけた頃。じいさんに「ほんてい」とやらに連れていかれた。

 なんと。おれがいたのは「べってい」と言って、さらにまた敷地の中にばかでかい家があったのだ。

 ほんてい、に足を踏み入れると、今までよりも視線が突き刺さる。目は口程に物を言うとはよく言ったもので、まぁその視線のうるさいこと。気にすることでもないので、すたすたとじいさんに付いていく。

 付いていった先。一つの部屋に案内され、足を踏み入れるとその呪力に気おさそうになる。今まで受けてきたどんなものより鋭くて、圧がある。そして何より、驚いたのがそこにいた人物だ。

 目を奪われるほどの美貌。美しいという言葉を体現すれば、きっとこうなる。髪も、肌も、整ったパーツも全てが美しく目を惹く。その中でも一層光を放っていたのが美しい瞳だった。どこまでも青く、星空をそのまま閉じ込めたような輝き。吸い込まれそうだ。

 儚い美少年。今まで見てきたどんな綺麗なお姉さんより、綺麗だと思った。こくん、と唾をのむ。住む世界があまりに違うとわかる。なのに、ほしいと思ってしまう。そんな魅力があった。

 それも、目の前の彼が口を開くまでは。

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