第1章 出会い
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ガキの護衛というのは本当か?と疑う日々が始まった。
あれよあれよと男に連れてこられたのは、見たこともないようなでかい家。なんていうか、そう、昔ながらの家という感じだ。端から端までいこうもんなら迷子にでもなりそうな広さに唖然としていれば、ひょいと放り込まれ見るからに堅気じゃないじいさんにしごかれた。
言葉遣いや身だしなみをしつけられ、育ちの悪さに何度も舌を打たれた。しょうがないじゃんね。学校いってないもん。文字は読めないし書けないわでこれまたしこたま怒られ、なんと読み書きの練習まで始まった。こんなことしてられるか、と逃げ出し隠れても、すぐに見つかり捕まる。その度に殴られたが、男の拳に比べれば何のその。軽い軽い。
そんなことを口走ったのがよくなかったのか、次に殴られたときは意味わからんくらい痛かったし、意識が飛んだ。暫く気分が悪かったが、それでもしごきは止まらなかった。
しごかれる日々だったが、一つだけ嫌ではなかったものがある。それが呪力の使い方についてだ。詳しくは教えてくれないのだが、なんでもおれはすごいらしい。「利用価値」があるんだって。その鍛錬だけは、まぁ……癪だけど楽しい。