第3章 距離2
刺激されれば勃つのが男だ。女は両手をつかい、雁首や尿道を責めてくる。息が上がる。
「…っは、ふっ…、すとっぷ、もういい」
ちなみに扱かれている間、五条はずっと俺の耳たぶやら首筋やら背中やらを触っていた。ぞわぞわとよくない快感が、確かに燻っている。
女の手が離れたところに、ゴムをかぶせる。空気が入らないようにゆっくりと降ろした。女の足を抱え、性器に手を添え挿入する。
女が喘ぐ。苦しそうにしたのは一瞬で、すぐに快感を拾ったらしい。部屋に喘ぎ声と息遣いがこだまする。
緩く腰を動かす。セックスは嫌いだ。けれど、気持ちいいとは感じる。それが余計に、自分を惨めにさせた。
「ねぇ、もっと動いて、」
首に手を回され、ぐっと距離が近くなる。何を思ったのか、後ろから触れていた五条はおれの腰に手を添えた。
「は?な、に………っ!!」
疑問に思ったのも束の間、無理やり腰を動かされ、驚きで息が詰まる。
「あぁっ、ひっ、んぅう…、ぁ、あっ、あっ」
やめてくれ、と思うのに、腰を動かされ脳は忠実に快感を拾い上げる。セックスをしているのは確かにおれと目の前の女のはずなのに、主導権などなかった。今、確かに主導権を握っているのは、五条だった。いやだ。なのに、口から零れる喘ぎ声が止まらない。