第3章 距離2
「やだ…、ああっ、んーーーっ、」
気づけば五条の手は離れていた。なのに、へこへこと動く腰を止めることができない。
いく、いく、だめ。
いやだ。いきたくない。こんな情けない姿。恥ずかしい。見ないでほしい。
相反する理性と本能に、プライドなんてめちゃくちゃだった。
自分の下で女が喘ぐ。喘ぎ声はだんだんと強くなり、いきそうなことを知らせた。
興奮している。見られていることに、後ろに感じる熱に。
快感を拾う自分の体が憎らしい。気持ちいい。いきたい。いやだ。やめたい。もう、めちゃくちゃだ。
「ーーー~~ッ!、ーーーっぁ、」
声を上げなかったのは、意地だった。本当はあーーーっ、って叫びたかった。声が出そうだった。すんでのとこで声を飲み込む。
女の体が揺れた。びくびくと痙攣して、派手な喘ぎ声とともにいった。その膣の動きに、本能的に腰が動く。まるで精子をなすりつけるような動きに、羞恥でどうにかなりそうだった。
「えっろ…」
いった余韻で震える体に、全速力で走ったように乱れる息。五条がつぶやいて、後ろから無理やり舌をつっこまれる。もう何がなんだか分からないまま、どうにでもなれと目をつむった。