第3章 距離2
前には女、後ろには五条。逃げ場を完全になくし、距離の近さに喉がひくりと動いた。
五条はおれをさらさら逃がす気はないらしい。
「早く抱けよ」
そうしてまた、耳元で囁いた。女の方を見れば、どうやらこの状況に興奮しているらしく、瞳は欲で濡れていた。すっと指先でゆるく勃った性器を撫でられ唇を噛む。
「…っ、」
「ははっ、感じてんの?」
「感じてねぇし」
「素直じゃねーの。女が可哀そうだろ」
こいつ本当、あったまおかしいんじゃないか。煽りスキルに全振りしてるんだ、きっと。嫌がらせもここまでくると手に負えない。
「ねぇ、舐めてもいい?」
「それは勘弁して」
女に期待に満ちた瞳で尋ねられて、咄嗟に否定する。チャックを下ろし、下着から性器を取り出した。
「じゃあ、扱かせて」
「…まぁ。それくらいなら。ご…、悟様離れてもらっても?」
「嫌だね。お前、あんなに文句言ってた割に乗り気だな」
五条が女に言葉をかける。女は少し間をおいて、おれの性器に触れながら答えた。
「だって、なんか可愛いんだもん」
「ふーん、どこが?」
「優しくされると引け腰になるとこ?」
「あー、それは…まぁ」
「わかる」と小さく五条がつぶやく。嘘だろ、と絶望がおれを襲った。たまったもんじゃない。