第3章 距離2
セックスは嫌いだ。
小さいころから必要に迫れれば体だって売った。生きていくには金が必要で、おれみたいな何もないガキは何だってしないと金が手に入らなかった。金が手に入るならばと大抵のことはやってきた。
その中でもセックスはだめだ。嫌いだ。疲れるし痛い。その割に大した額を稼げない。ガキだからと舐められるのだ。歳を重ね体が大きくなるにつれ多少はマシになったが、いつだってリスクの方が大きかった。
女を押し倒して、服を脱がせる。下着のホックを外せば、女特有の豊満な胸が目に入った。五条が連れてくる女はいつも巨乳だ。
顔を近づけ、息を吹きかけるとひくりと反応する。「んっ、」と小さな声が上がって、強張っていた体から少しずつ力が抜けていく。
早く終わらせたい一心で、下に手を伸ばす。大して濡れていないそこに、眉をしかめる。そのままつっこんじゃだめかな。五条の方をそっと見ると、険しい顔つきでこっちを見ていた。
なんなんだ、本当。
仕方なく胸をもんだり舐めたりすったりする。久しぶりの人肌に、ぞわぞわと落ち着かない気持ちになる。数分そうしていれば、徐々に下も濡れてくる。指は入りそう。
中指を入れれば、すんなり入った。二本目は、うーん、まだっぽいな。
くちくちと指を動かして広げていく。無心で行っていれば、女の手が伸びてきて首に回される。
「わっ、なに」
「さみ、さみしい、」
そういってぽろぽろ泣き出した。
「え、えぇ…、寂しいって…」
困惑して、手が止まる。寂しい。寂しいってどういうことだ?何が寂しんだかよく分からないまま、けれど女はえぐえぐと泣き続ける。