第22章 涙
「それって、僕のことが」
「違う違う!」
スケルタが言わんとした言葉を遮って俺は声を張った。思った以上に大きな声が出てしまい、見るとスケルタが今まで見たことのないくらい怯えた顔をしたので、ごめんね、大きな声出してと宥めた。
「あのね、俺は……」俺は話続けた。「こことは別の世界から来たのよ」
「別の世界?」
「そう、別の世界。ネザーでも、エンドでもない遠い世界」
「会えないの?」
「……会えないかもねぇ」
スケルタの肩はどんどん落ち、視線は地面に向けられる。右手は羽織ったままの俺の上着を握り締めていて、スケルタはだいぶ前から、このことに気づいていたのではないかと俺は思った。
「俺は元いた世界に帰りたいんだ。家とか、友達とかいるからね」
俺は、出来るだけスケルタに分かりやすいようにそう言った。スケルタはこくこくと頷くばかり。俯いているので、表情までは分からない。
「スケルタと一緒にいて、本当助かったし、楽しかった。……ありがとね」
まるで別れの言葉みたいだ。
あとには沈黙が横たわって。
俺はベットから下り、ゆっくりとスケルタの背中に腕を回した。こんなことやったのは初めてだったので動きはぎこちなかったかもしれないが、スケルタがすぐに俺の胸に顔を埋め、思い切り泣いた。
「ごめんね、ごめんごめん」
俺はスケルタの背中を撫でながら、ただそう言うことしか出来なかった。なんだか俺ももらい泣きしそうでぐっと堪えた。寂しくないから、泣かない訳じゃないと、言い聞かせて。