第20章 トラブルは止まらない
お馴染みの「ドンッ」という音。
至近距離でスケルタに自爆された俺は体が吹き飛び横の壁にぶつかった。それだけではなく、床も天井も大きく穴が空き、第二被害を勃発させた。
「うわ、何これ?!」
自爆で疲れただろうに休む間もなく飛び上がったスケルタ。地面を這って来た第二被害はシルバーフィッシュの襲来だ。
もちろんそのタゲは俺に集中し、壁にぶつかって背中が痛いと呻いている余裕はなかった。俺は声を上げながら逃げ回る。待って待ってとスケルタは矢を放つが、なんせ数が多い。
またスケルタに自爆されたら困ると思っていたが、クールタイムがあるのか、シルバーフィッシュの群れを弓矢で倒している。しかし減るどころか増えてきておかしいと思った矢先、それはあった。スポナーだ。
俺は急いでツルハシを取り出してスポナーを壊す。あとは残党だけだと、俺は後ろからシルバーフィッシュにつつかれながら逃げ回り、ようやくスケルタの矢が最後の生き残りを倒し切った。
「あ〜、ありがと〜」
「えへへ、どういたしまして♪」
スケルタは撫でてと言わんばかりに俺に駆け寄って来て頭をこちらに向ける。こうもあからさまに好意を見せられるとちょっと恥ずかしいが、悪い気はしないのでスケルタの頭をぽんぽんと撫でた。
わぁいと飛び上がったスケルタはますます嬉しそうで。ついその小さくて柔らかな唇を見つめてしまう。
「どうしたの?」
「あ、いや、なんでも」
あの時は必死だったからあまり意識していなかったスケルタの唇に今更脳裏に焼きついていると知って俺はどうしても緊張してしまう。大丈夫だ。なんてことはない。俺は何度も自分にそう言い聞かせた。
「そういえばぼん、黒いメガネなくなったんだね?」
「ああ、さっき水に流されて」
「ふぅん……ぼんって、優しい目してるんだね」
「……え?」
こっちは気が気でならないのに、ますます気になってしまうことを言うんじゃない。俺はスケルタを見、いつも通りの表情で首を傾げるからどこまで本気なのか分からなくなってしまう。いやいや、本気でもいけないのだ。十五年のスケルタには……。
「とにかく、ポータル見つけたから行こうか」
俺は無理矢理思考を切り替える。はーいと遠足についてくる子どもみたいな反応でスケルタはポータル部屋にやって来た。