第3章 女の子が引き寄せられた世界?
「ね、人間さんのお名前は?」
とあるメンバーくらい人懐っこそうな声と目でスケルタは問いかけてきた。彼女が何者なのか大体予想はついていて、名乗ろうかどうしようか悩んでいると、スケルタがぐっと近づいてきて俺の額に自分の額をくっつけてきた。緑色の目が俺の目を真っ直ぐみつめる。
「な、ま、え、は?」
目の前で大きな声で問い詰められる。どうやら答えるしかないみたいだ。
「えーっと……ぼんじゅうるで」
まさか本名を答える訳にもいかないと俺が渋々答えると、にこっと笑ってスケルタが離れる。スケルタは嬉しそうに話した。
「へぇ、ぼんじゅーる! 名前のある人間さんとお話したの初めて!」スケルタは話し続ける。「ね、ぼんじゅーるって呼んでもいい?」
「ああ、いいけど……みんなからは、ぼんって呼ばれてるけどね」
「ぼん?」
「そーそー。あだ名みたいな」
「へぇ、あだ名!」
スケルタはきゃっきゃと笑い、何度もぼんと名前を呼んだ。こうも無邪気に名前を何度も呼ばれると恥ずかしくなってくるような気がして、話を変えようとそれより、と切り出した。
「俺、いきなりこんな所に来てどうしたらいいか分かんないんだよね。俺以外に誰か名前のある人間がいた?」
「見てないよ? だって他の人間たち、ふんふん言うだけなんだもん」
「ああ、村人か……」
やはりここは、某ゲームの世界らしい。多分スケルタも、この世界にいるあのMOBだ。
「じゃあスケルタは、スケルトンってこと?」