第4章 スケルタの正体
「うん、そうだよ!」
スケルタは包み隠さずそう話す。やはりか。俺の予想は当たっていた。
ただ、外れている予想もあった。この世界はてっきり、俺だけが襲われる世界だと思っていたのだが、このスケルタに至っては襲ってくる気配がない。もしかしていい人ぶって近づいてきた人狼か? いやいや、さすがにゲームのやり過ぎか。
「さっきはなんであんなに羊がいたんだろ?」とスケルタが一人首を傾げた。「お腹いっぱいになるし、まぁいっか!」
と言いながら、スケルタはウエストポーチから生肉を取り出してそのまま齧りつく。思えば俺も腹が減っていた。思わず生唾を飲んでしまう。
「ん、ぼん、どうしたの?」
スケルタが口の周りを拭わないままこちらを振り向いた。俺は正直に答えることにした。
「あー、いや、腹が減ったなって思って」
「だったらこれあげるよ!」
「えっ」
スケルタはたった今齧りついたばかりの生肉を俺に渡してきた。ちょっと待て。アナタの食べかけ、俺が食べていい訳? そういうアレになっちゃうよ?
「どうしたの、ぼん? お腹空いてないの?」
「えーっと、生肉はちょっとね?」
「あ、火使うんだ!」スケルタは意外にも気が利くスケルトンらしい。「だったらね、あそこに砂利があったよ! 一緒に行こ!」
「お、おお、分かった……」
今のところ羊に襲われた理由もよく分かっていないのだが、スケルタに手首を掴まれて建物の外に連れ出されては抵抗も出来ない。というかスケルタ、握力強くないか……?