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🍆だけが襲われる世界で

第17章 進捗八割


「あ、ぼん!」
 ネックレススケルトンのおかげで無事にネザー要塞に戻った俺は、ブレイズと戦闘中だったスケルタを見つけた。
「後ろ後ろ!」
 俺の名前を呼びながらこっちに駆け寄ってくるスケルタの後ろでブレイズが炎を纏う。すると、スケルタが瞬時に振り向いて弓矢を構え、ブレイズを一掃した。命中率がめちゃくちゃ高いし、反応の速度も早い。
「えへへ、すごいでしょ!」
 俺が何か言うよりも早く、スケルタ自ら褒められに来た。ああ、すごいすごいと頭を撫でてやればまた嬉しそうに笑うスケルタ。この小さなMOBが羽織った俺の上着はぶかぶかしていて普段は手が隠れる程なのに、どうやって弓矢を構えているのか聞いてみたくなる。
「それで、ブレイズロッドは?」
 俺は本来の目的であるブレイズロッドの話を振ってみた。スケルタはウエストポーチに手を突っ込みながら、ブレイズロッドを見せてくれた。
「今はこれくらい!」
「四本ね」
「よんほん? ぼん、数えられるんだ!」
 そうか、MOBには数字の概念がなかったのか。思えばMOBが数を数えられたらそれはそれで厄介だ。俺たちは五人いるから、まだ一人倒していないと執着されたらホラーゲームに一転してしまう。
 そこまで考えて、ふとドズルさんたちのことを思い出した。今頃ドズルさんが泣いていないだろうかなんて脳内すら冗談を吐きながら、おんりーチャンやおらふくんやMENのことも脳裏によぎった。このままこの世界に閉じ込められているのはやはり嫌だと思う。
 だけど、そうなるとこのスケルタのお別れも近いのではと考えてしまい、あれ? と何か大事なことを忘れている気がして後ろを振り返った。
「どうしたの、ぼん?」
「いや、さっきスケルトンにここまで案内してもらったんだけど」
 遠くを見渡してみても、ネックレスを身につけたスケルトンどころか、他のMOBも見当たらない。
「さっきのスケルトン?」
「そ、ネックレスをつけた」
「ふぅん……」
 スケルタはあまり興味がないみたいだった。ということは、スケルタの元々の知り合いではなさそうだ。
「まぁ、もう少しブレイズロッド集めますか」
「うん!」
 俺たちはブレイズ狩りを始めた。
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