第14章 ひと時の休息
「あのね、ぼん」スケルタのお喋りはまだ止まらなかった。「僕、本当は長生きしないってみんなに言われてたんだ」
「え?」
何突然? シリアス展開?
俺は急に怖くなり、恐る恐るスケルタの顔を覗き見た。スケルタはいたって普通の表情のまま、話を続けた。
「僕は変なスケルトンだから……えーっと、ぼんの言ってた、ハーフ? だから」
まぁ確かに、スケルトンがどれくらいの寿命かは知らないが、クリーパーとのハーフともなれば、短命とも言われるものかもしれない。爆発するもんなぁ、あいつ。
「でも僕、生まれて十五年だから、もっと長生きしたら楽しいことがあるかなって思って!」
「えっ」
「そしたらぼんに会えたから、えへへ、もうずっと楽しいんだ♪」
「それは……よかったけど……」
え? 何、この子……生まれて十五年? 十五歳ってこと?
俺の頭の中は途端に大混乱した。この体つきで十五歳? 待て待て、MOBの歳の取り方はよく分からないが、生まれて十五年は人間で言う十五歳だぞ。
「あのさ、スケルタ……」
俺は撫でていた手を止めて改めて切り出そうとした。だが、返事がないどころか、動きもない。
「……スケルタ?」
見るとスケルタは寝息を立てて眠っていた。寝落ちが早い。こういうところは子どもなんだろうか。
「……おやすみ」
多分外は夜なのだろう。俺もスケルタから離れたところにベットを置く。俺には到底計り知ることが出来ないスケルタの心の傷に、自分はどれくらい埋まるのだろうと考えながら、眠りについた。