第13章 ご褒美
その後、かなりエンチャントされているのだろうスケルタの弓矢で廃要塞のピグリンたちはあっという間に全滅し、ピグリンプルートさえ軽々とやっつけてもらっている中、俺はこっそりと金ブロックを頂いた。
おかげで交易はスムーズに進み、パールも充分数が揃ったところで、一旦地上に戻ることにした。何かあって落としてしまい、またパールを取りに行くのはとても面倒だからだ。
俺はスケルタと一緒に少し迷子になりそうになりながらなんとかネザーゲートを見つけて地上へ出る。地上とはいってもネザーゲートは洞窟内に作っていたから暗さは大して変わらないのだが、スケルタはいつもニコニコしていて、そればかりが癒しだった。
俺がチェストを作っている間に、スケルタは持たせていたベットをそこに置いて横になっていた。やはり、最初に自爆した時より様子がおかしい。大ダメージだったのだろうか。
「大丈夫? スケルタ」
「大丈夫だよ?」
俺がもう一度訊ねてみてもそう即答するスケルタ。本当に大丈夫なのかもしれないが、腕や足は擦り傷だらけ、髪には煤がついてぐしゃぐしゃだ。
「こんなにぐしゃぐしゃじゃないの」
とスケルタのそばに行って額を触れてみたが、特段熱があるようには思えない。とはいえ、MOBが熱を出すかは不明なのだが。そのまま髪の毛に手ぐしをしてやるとスケルタは目を細めて嬉しそうにしたが、いけない。うっかり女の子に触ってしまった。
「ごめんごめん、いきなり」
俺が慌てて手を引っ込めようとしたが、スケルタが手首を掴んできてもう一度頭を撫でろとせがんできた。仕方がないので頭を撫でながら髪の毛を整えてあげると、スケルタはくすくす笑った。
「えへへ、今度はもっとぼんに役立つことするね」
ベットで横になりながら、スケルタはそう言った。
「もう充分助かってるよ」
と答えれば、そお? とスケルタが丸い目をこちらに向けてきた。
「じゃあいっぱいよしよししてくれる?」
「え、撫でて欲しかったの?」
「うん! パパがよくしてくれたから!」
俺はスケルタのパパではないんだがとも思ったが、助けた礼に金を請求されるよりはまだマシかと思うことにした。
「言ってくれればいつでもするのに」
「ほんと?」
「でも、敵が来てる時は勘弁ね?」
と俺が釘を刺すように言えば、そんな時には言わないよとスケルタはケラケラ笑った。