第12章 廃要塞で
「ぼん〜、持ってきたよ〜!」
間もなくスケルタも戻ってきて金塊を俺に見せてくれた。せっかくならと金インゴットの作り方も教えてみると、スケルタもコツを掴んできたのかスムーズに出来るようになっていた。
「これをピグリンに渡すの?」
「そ、やってみてくれる?」
「うん!」
スケルタはピグリンのいる落とし穴に金インゴットを放り込む。俺もその様子を見守っていると、ピグリンがエンダーパールを出しているのが見え、俺は急いで取り出した。
「よし、パールだ!」
「へぇ、これがパールなんだ!」
スケルタが興味深そうにパールを眺めるものだから、一旦渡してみるとありがとうと言ってあちこちから観察をする。ゲームの世界じゃ平べったいだけのそれも、この世界じゃ深緑色をした丸いアイテムでリアル過ぎる。
リアル過ぎる世界でエンドラ討伐、もやったな。
とはいえこんなにもリアルではなかったが、スケルタが溶岩やグロウストーンの光にかざしてキラキラと反射するエンダーパールは、まるで水晶玉みたいだった。
さて、俺は気持ちを切り替えて穴にはめたピグリンの様子を伺ってみたが、やはりそこら辺の金塊だけでは足りないようだった。ここは廃要塞から金ブロックを手に入れる方が手っ取り早いだろうが、ここまでとんとん拍子過ぎて逆に怖い。しばらく何かが引き寄せられて襲われてもいないし、そろそろそういうタイミングも来そうだった。
「廃要塞に行けばもっと金があるんだけどね」
「じゃあ行こう行こう!」
「……そうね」
気が進まないまま俺が頷いた瞬間、今まで大人しかったゾンビピグリンが急に雄叫びを上げてこちらにやって来た。足は遅いが急がなくては攻撃をされてしまうだろう。俺は手持ちのブロックを探し当てて真上へ積んで行くと、数分もしない内にゾンビピグリンが真下に大集結した。
「……スケルタ?」
俺は不安になって呼びかける。ゾンビピグリンの集団がやって来た騒動で、スケルタの姿が見えなくなったのだ。
スケルタは他のMOBより少し背丈が低かった。ゾンビピグリンの群れの中でもみくちゃにされているかもしれない。ああ、俺のそばにいたばっかりに! 何か考えないと!
俺が慌てて何も思いつかないでいると、足元で微かな音が鳴った。
シュッ……!
「スケルタ……?!」
間髪入れずに、俺の足元が爆発して崩れた……。