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🍆だけが襲われる世界で

第11章 要塞探しで


 あっという間に仲間の元へ辿り着いたスケルタを俺が遠巻きで見守っていると、周りのスケルトンは敵対する様子はない。それより何か喋っているみたいで、スケルタは楽しそうに話したあと、俺の方を振り向いた。
「ねぇねぇ、ぼん! 向こうに要塞あるって!」
「あ、そうなんだ……」
 返事をした瞬間、スケルタの周りにいたスケルトンたちがくるりと方向転換をして俺の方に向かって走ってきた。これはお決まりの俺だけが襲われる世界? と身構えていると、そこにスケルタが割り込んできてこう言った。
「ぼんは僕の友達だから敵じゃないよ!」
 すると、今まさに弓矢を構えようとしていたスケルトンも手を止めて俺は安堵したが、それでもこちらに近づいてきたのでなんでだよと後ずさりした。そして目の前で止まってカタカタと骨を鳴らす。
「要塞まで一緒に来てくれるって!」
「あ、そうなの?」
 MOBが味方になる世界も企画でやったことはあるけれど、あの時はスケルトンを仲間に出来なかったんだっけ。俺はスケルタと一緒に、スケルトンの集団に護衛されながら要塞へと向かった。途中ガストが湧いたが、スケルトンの無数の矢にしばかれて道中とても楽だった。
 それにしても、と俺は普通のスケルトンとスケルタを見比べてみた。
 スケルタは他のスケルトンと比べてあまりにも人間っぽい見た目だし、なんなら肉づきもいい方だ。
 スケルトンからこんなかわいい女の子が生まれてくるものかとずっと不思議なのだが改めて考えてもそのカラクリは謎に包まれ、しかも、最初から気づいていたが、スケルタは他のスケルトンと違って左利きだ。弓をずっと左で持っているのだ。
「あ、なんか見えてきた!」
 こちらの視線に気づく様子もないスケルタが、そう言って先頭へ躍り出た。元気だなぁと俺は思い、見上げた先のよく知った建造物に、ああと感嘆な声を漏らした。
「あれは、廃要塞だね」
 俺たちは先に、廃要塞を見つけたみたいだ。
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