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🍆だけが襲われる世界で

第9章 次々とトラブル?


「スケルタ……!」
 助けてと叫ぶより早く、コウモリが口を塞ぐように飛びついてきて声も上手く出ない。スケルタの足音も聞いている余裕はなかった。
「わ、何このコウモリさん!」
「……っ?!」
「ほらほら、コウモリさん避けてね〜」
 そんな声が間近に聞こえ、間もなく俺の目の前に細い腕が見えた。
「キィ!」
 コウモリはそれを合図かのようにバタバタと離れていき、俺は細い腕に体を起こされながらようやく視界が開けてきた。
「あ、ぼん! コウモリさんと遊んでたの?」
 と俺の顔を覗き込むのは間違いなくスケルタだった。
「ああ……ありがとう、助かった……」
 俺はヘロヘロになる思いで自分で立ち上がった。ダメージもないのにこんなに疲れることってある?
「もしかしてぼん、コウモリ避けしてないの?」
「え、コウモリ避け?」
「パパに教えてもらったんだ。この草を焚き火で燃やして乾かして持ち歩いてるの」とスケルタはウエストポーチから枯れ木を取り出した。「コウモリさんの嫌いな匂いなんだって。もう一個あるから、ぼんにあげる!」
「あ、ありがとう……?」
 よく分からないが、コウモリを避ける方法があるらしい。俺はなんの変哲もなさそうな枯れ木を受け取り、ポケットに入れた。そんな仕様、某ゲームからでは聞いたことはないのだが……これでコウモリに襲われなくなるのならまぁいいか。
「ね、早くネザー行こ!」
 事情のよく知らないスケルタの笑顔が、この世界の太陽みたいだった。
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