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🍆だけが襲われる世界で

第9章 次々とトラブル?


「やめてやめてやめて!」
 ダメージはつつかれる程度だったが、何より体中まとわりついて視界が奪われるのが厄介だった。
 それに周りも見えないからどこにいるのかも分からない。俺は手探りでツルハシを手に取って適当なところを掘り、空いた穴に向かって飛び込んで出入口を塞いだ。コウモリは入って来てはいない。ひとまず安心だが、状況は変わらなかった。俺は未だに迷子だ。
 それに思った以上に暗い。焚き火のために掘った石炭で松明を作るものの、数は少ない。ここにずっと居続ける訳にもいかないだろうし、どうしようと俺は考えた。
 いつもはみんなに助けてもらっていた。今じゃ一人だ。頼みのスケルタも今はどこにいるのか分からないし、連絡手段がないのはつらい。
「ぼん〜、どこ〜?」
 その時だった。グッドタイミングであの声が聞こえた。
「スケルタ?! ここ、ここ!」
 俺は穴蔵の中で叫んだが聞こえないようだ。だんだん近づいてきた足音だったが、こっちじゃないのかなと呟くスケルタの声がし、どんどんと遠のいているのが分かった。
 俺は急いで目の前の石を掘り返した。
「スケルタ、こっちこっち!」
 と上手く叫べたかは分からない。
 穴の前で大集合していたコウモリの集団が一気に俺の顔めがけて飛んできたからだ。
 何より俺の声よりコウモリの鳴き声の方がうるさかったんじゃないかというくらいに。
 俺は追い出されるように穴から飛び出してコウモリと格闘した。といっても、いくら殴ってもコウモリが減るどころか集まっているように見える。
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