第2章 憧れの人
「そうだったのかー…」
「明後日が本番なのに、ホントどうしよう…」
私は手で顔をふさぎこんだ。
「あっ!」
何かを思い出したようにゆづるくんが立ち上がった。
「どしたの?」
「さとみちゃんが使ってたスケート靴ちょっと見せて」
なんでスケート靴を…?
「う、うん…ちょっと待って!」
私はエナメルの中からスケート靴をごそごそと取り出した。
「はい、これさっき使ってた靴。」
私はゆづるくんに靴を渡して見せた。
するとゆづるくんはスケート靴の刃の部分を触った。
「うーん…」
そして何かを考えている様子だった。
「何を見てるの?」
私が聞いても、ゆづるくんは真剣な表情で靴をじっと見つめた。
「これだぁぁーーー!」
「な、なに!?どしたの!!」
「右のエッジの部分のここ!欠けてる!!」
そう言ってゆづるくんは靴の尖端を指差した。
よく見ると、
「ホントだーーー!!」
不安と悩みが一瞬にして解消された。