第6章 *File.6*諸伏 景光*
「……」
とか言う望月も、入学当初から成績はとても優秀だ。
仲良き幼馴染。
いいよな、幼馴染がいるっていうのは。
まあ、今のオレには、黒羽が羨ましくないとは言い切れないか。
望月の幼馴染だからな、黒羽は。
いや、ダメだ。
これ以上、この感情に深入りしたら。
本格的に戻れなくなる。
想いを断ち切れなくなる。
想いを隠し切れなくなる。
万が一の時に多大な被害を受けるのは、担任のオレじゃない。
生徒の立場で、女である、望月の方だ。
「?」
先程からあえて無視していた、黒羽からの強く、意味深な視線をようやく受け止めたフリをすると、首を傾げてみせた。
「!」
勿論返って来たのは、しらばっくれてんじゃねー!と、呆れより怒りの眼差し。
「……」
だけどオレはあえて何も気付いてないフリをして、今度はニッコリと笑みを返した。