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*名探偵コナン*短編集*

第5章 *File.5*諸伏 景光*(R18)


「おはよう」
「……お、おはよ?」
「まだ寝る?」
「シャワー浴び、ふぁああぁ」

言い終わる前に、大きな欠伸が付属された。

「何か、色々とごめん」
「ふふっ。景光からの愛はちゃんと受け取りましたよ?だから、謝らなくていいの」
「…有難う」
「私の方こそ、ずっと変わらぬ愛を有難う」
「!」

ふわりと優しい笑顔があって、言葉を失う。

「…景光?」
「愛してるよ、雪乃」
「うん」
「まだまだ離したくはないけど」
「ムリ」

言葉を遮られる。
急に真面目な顔をして。

「くくくっ。お腹は空かないか?」
「…空いた。晩御飯食べてない」
「時間が時間だし、軽く何か食べようか」
「!」

途端に両眼がキラキラと輝き出した。

「有り合わせでいい?」
「景光のご飯ー!」

やったー!!と、声を上げ、ついでに両手も上がった。

「くくくくっ」

まるで幼い子供のような無邪気な反応に、堪え切れずに吹き出して笑ってしまった。
作る前からこんなに喜んでもらえるとは、思いにも寄らなかったよ。

「お風呂入っていい?」
「オレは先に済ませたから、ご飯の用意をしておくよ」
「ありがと」
「!」

抱き締めていた腕を緩めると、雪乃はクスッと笑みをのせて、チュッとキスをした。
そのままベッドから下りるのを、伸ばした手で引き止める。

「ん?」
「…もう一回」
「へっ?」

ベッドに腰を掛けた状態で振り返り、キョトンと首を傾げた。

「雪乃からキスして欲しい」
「…私を、口説いてらっしゃるんですか?」
「口説く?」

身体を起こしながら、そんなつもりはサラサラないと視線で伝えれば、少し困った表情になった。

「……キスだけ、だからね」

そう言いながらオレの首に腕を回すと、雪乃の柔らかな唇がゆっくりと重なる。
まるで、仕方の無い人ね、とでも言いたげな、普段は見せない年相応の大人びた笑みを浮かべて。


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