第5章 *File.5*諸伏 景光*(R18)
「ですネ」
「赤井秀一=沖矢昴。昴を転じての星、か」
赤井秀一は、公には亡くなっている。
「ハイ」
「事の詳細は後で聞くとして…」
「……」
「続きをしようか?」
「えっ?」
「邪魔が入った分も、ね」
「そ、それはっ、あ、ンっ!」
周り回って、キミのせいだから。
言うなり、律動を開始した。
ゆっくりと抽出を繰り返すと、ぐちゅぐちゅと独特の濡れた音と素肌同士がぶつかる音が響き、その度にナカでキツく締められて、堪えるような喘ぎ声が洩れる。
「我慢しない」
「…や、だっ」
濡れた瞳を薄らと開いて、首を振った。
「じゃあ、存分に聞かせてもらう」
「…あっ、ンっ……ぁん、やっ…」
雪乃の細い腰を引き寄せて抽出を深く激しくすると、嫌でも声が洩れる。
艶のある声にも腰がゾクゾクと反応して、オトコとして堪らない。
その反面、何か色々とモヤモヤするから、時間を置くのはもう少し先にするよ。
当然手加減はしないから、覚悟しなよ?
逢えなかった時間の話は、また後でゆっくりと。
だから今はお互いに全てが満たされるまで、抱かせてもらうことにするよ。
ねえ、雪乃?
「ふっ」
何度か果てて、そのまま意識を飛ばして眠った雪乃を素肌のまま抱き締めると、長い時間待ち望んでいた瞬間がやっと訪れたんだと、再確認出来る。
白くしなやかでいて、柔らかくて温かい肌。
別れを告げてからも一日足りとも忘れられずにいた、たった一人の女性。
付き合い始めたあの頃は、こんな日が来るなんて想像も出来なかった。
まだ高校生だった、あの頃。
もう、十年以上も前の二人。
幼かった二人が、今ではただ、酷く懐かしい。
「……ん」
不意に意識が浮上したのか、伸びて来た手のひらがペチペチと何度かオレの肌を叩き、無意識に何かを探しているようにも見えた。
「まだ夜中だよ」
探し物は、きっと現時間を確認するためのスマホだ。
「う、ん?」
「一度起きるか?」
「んっ?」
もう一度声を掛ければ、バチッと音がしそうなぐらいにハッキリと瞼が開いた。