第5章 *File.5*諸伏 景光*(R18)
「身体は素直だな」
「!」
「オレがもっと欲しいって、ナカはぎゅうぎゅう締め付けてるよ」
「ば、バカっ!」
「約束して欲しい」
「…何を?」
「さっき言ったこと。これから先の長い人生はオレの傍で、オレに愛され尽くすって」
「…いい、の?」
「他の誰でもない、オレが、雪乃がいいんだ」
「…うん、約束する。これから先に何があったとしても、もう二度と離れてなんかあげないから」
「……」
「私も生涯、これから先もずっと景光だけを愛し続けるから、よーく覚えてて」
「ああ。覚えておくよ」
今のセリフは、幸せに満ちた柔らかな笑顔は、一生忘れない。
こんなにも幸せな言葉はないよ。
心からそう願い望んではいても、叶うとは思ってはいなかったから。
「…ね、一ついい?」
「ん?」
「長い潜入捜査中、こんなコトしてたの?」
疑いの眼差しが凄いのは?
「こんなこと?」
「ゼロと二人で、ハニトラとか色仕掛けでオンナを騙して落とす担当、みたいな?」
「あるわけないだろう」
ん?
ゼロと二人で?
女を騙して落とす?
一体何が目的で?
って言うか、それは普通に鬼畜すぎないか?
本当にそんな組織があったら、あの組織とはまた違った意味で、相当ヤバいヤツだろう?
とんでもない方向へとねじ曲がった想像力に、呆れてため息しか出ない。
「えーっ?ホントにー?」
「オレの担当はスナイパー。誤解を解くために付け加えると、ゼロの担当は主に情報収集兼探り屋。で、何故そうなるんだ?」
「じ、自分で考えて!」
途端に頬を赤く染めて、顔を背けた。
ハニトラ、色仕掛け?
なるほど。
裏を返せば、遠回しにオトコとして褒められているらしい。
「オレは頭の中で、夢の中で、今まで数え切れないぐらい、雪乃を抱いた」
「えっ?」
「それに、雪乃の身体は隅から隅まで知り尽くしてる」
「!」
「気になったから、オレからも一ついい?」
「?」
耳まで真っ赤になった雪乃を見下ろす。
「どうして、オレがゼロと一緒に潜入捜査をしていたことを知っている?」
「!!」
ハッとして、手のひらで口元を覆った。
その表情には、明らかにしまったと書いてある。
ゼロは話していないはずだ。
いくら雪乃が相手でも、公安警察という立場上、仕事の内容は話せない。