第3章 *File.3*黒羽快斗*(R18)
「なー」
「なに?」
「もし、俺が…」
「……」
雪乃の自宅の玄関前。
「お前を好きだって言ったら、どうする?」
「信じない」
「!!」
「じゃあね、また明日」
不自然なほどの満面の笑顔での即答。
予想外の返答に絶句して立ち竦んだ俺をその場に残したまま、表情を一切変えることなく別れを告げると、雪乃は身を翻してさっさと家の中へ入ってしまった。
「……ウソ、だろ?」
マジ、か…。
どんだけ誤解されてんだってか、一体どう告ったら信用してもらえるんだよ?!
さすがの俺も、今目の前が真っ暗になった。
驚かれて、冗談ですませられるかと思ったのに。
まさかの反応!
それはねえだろ?
雪乃らしいっていや、そうだけどよ!
「ハア」
さーて。
どうしたものか?
これは強引にでも迫って行かねえと、本音を聞かせてもらえそうにねえな。
まさか、白馬の野郎に片思い。
いやいや、それは無い、はず。
俺はもう何度目か分からないため息を吐き出しながら、隣の自宅へと帰ることにした。