第2章 *File.2*降谷 零*(R18)
「……その必要は、ありません」
「何故?」
プイと顔を背けたまま、
「もうとっくに私は……零くんに、堕ちてる」
と、続けた。
「くっ。最高の返事だな」
「!」
チラリと視線が戻って来たのを見計らって、唇を重ねた。
「……ちょ、待っ、て」
「嫌だ」
「ムリって、言っ、た…んっ」
「聞こえないな」
「んッ……っあ、ン」
触れる場所全てに、敏感に反応を示す。
「挿れるぞ」
「や、んっ!」
「……っ!」
傍に置いてあったスキンを装着するなり、細い腰を引き寄せてゆっくりと押し込むと、雪乃の指先が咄嗟に俺の腕をぎゅっと掴んだ。
「一年分にはまだまだ足りない」
「一度には無理に決まってる!」
「まだまだ元気だな、問題ない」
「勝手に決め付けないで…っ、あっ……ンっ」
「それだけ、お前に本気だと気付いてくれ」
「!?」
「雪乃への想いは、気まぐれでも一過性のモノでもない。次に逢えたら、お前だけは誰にも渡さない。そう決めて、生きて来た」
「……バカ。何度泣かせたら、気が済むの」
潤んだ瞳からは涙が溢れ、白い頬を伝い流れる。
「少しは、伝わったか?」
「私だって、零くんは誰にもあげないよ」
伸ばされた腕は、首の後ろに回される。
「約束だ」
「うん」
自然にポロッと出ては来たが、『約束』だなんて言葉を使うのは、一体何年ぶりだ?
最後に使ったのが何時だったのかさえも、覚えていない。