第2章 *File.2*降谷 零*(R18)
「…参ったな」
「?」
耳元で、少し困った声。
「先を越された」
「…何の、ンっ!」
背中に腕を回され、繋がる場所が更に深まって、思わず声が上がる。
「愛してる、雪乃」
「零くん…」
「俺にこんな気持ちがあったとは、俺自身も知らなかったよ、雪乃。キミに出逢うまでは」
「…嬉しい」
「だから、覚悟しろ」
「何の?」
「今から雪乃を愛し尽くすよ」
「…零くん?」
「この生涯の、この生命を懸けて」
「…いい、の?」
「何が?」
「そんな大事ことを今決めて。今現在、大切な人はいないの?」
「ハア」
「……?」
本日二回目の、めっちゃ深いため息洩らされた!
「今決めたワケじゃない。お前と愛し合ったあの瞬間から、決めていたことだ。でないと、この状況を一体どう説明つもりだ?」
「だって…もし、またこうして再会出来なかったら?」
「さすがにこういう形で再会するとは考えてもいなかったが、何時か必ずまた雪乃に逢えると信じていたからな、俺は。あの日から、俺にとって大切な人はたった一人、お前しかいないよ、雪乃」
「っ」
逢えなかった、離れていた長い時間も、ずっと私を愛してくれてた。
今度は何時逢えるのか、また逢えるのかさえ分からない、そんなあやふやな時間を過ごしていたのに?
優しい色を含んだ蒼の瞳が、真実を物語ってる。
今はこの感情を言葉に出来なくて、ただ、涙が止まらない。
「泣くな」
「だって…」
「雪乃の方こそ、どうなんだ?」
「?」
溢れる涙声を拭いながら、少し不安気な声。
「あれから、好きになったヤツはいないのか?」
「いるワケない。あのまま、零くんと再会出来なかったら…」
同じ職場の人に交際を申し込まれたり!両親からもやんわりーと急かされてるけど!
「出来なかったら?」
「私はおばちゃんどころか、このまま一人きりでおばあちゃんになってたよ」
「ふっ。そうなる前に、再会出来て良かった」
「うん」
ホント、この笑顔の破壊力は半端ない。
お互いから唇を重ねると、逢えなかった一年もの空白の時間を埋めるかのように、私達は再び深く愛し合った。