第2章 *File.2*降谷 零*(R18)
「力を抜け」
「む、ムリ」
「挿らないだろ」
「!」
は、恥ずかしいから、そういうことをズバッと口にしないで…。
ゴニョゴニョと続ける。
想定外の再会の、まさかの展開に、心が上手くついていけないだけ。
降谷零との再会は私がずっと待ち望んでいたことであり、それが叶ってとても嬉しかったことは零くん本人にも伝わっているはずだから、そこは安心してる。
「何だって?」
「!」
絶対聞こえてるでしょ!
逸らした視線を戻せば、ニヤリと口角を上げて怪しく笑う。
ダメだ!
時間をかけて十分に解されて濡れた奥が、素直にキュンと疼いてしまう。
「…我慢にも限界があるんだが?」
「そ、そんなこと言われても」
「前は挿ったんだ。今挿らないわけがないだろ」
一体どんな理屈よ!
キラキラした金色の髪を、長い指先がかきあげる。
「……ムリなものは、ムリッ」
目に毒です。
もう、イケメン過ぎて見てらんない。
一年前に、十分分かってたつもりだった、けど!
「雪乃は変わらないな。だが…」
「うん?」
「綺麗になった」
私の方を向いて腕枕をしながらも、伸びて来た大きな手のひらが優しく私の頬に触れる。
「えっ?!」
「…褒めたのに、何だ?その反応は?」
「だっ、だって」
「理由があるなら聞いてやる」
「ズルいよ」
「何が?」
「そんな優しい表情で、穏やかな眼差しで言うなんて」
「自覚はないが、もしそう見えるなら、俺をそうさせているのは、お前だよ。雪乃」
「私の所為にして、やっぱりズルい人。でも零くんのレアなトコ見れたみたいで嬉しい」
「レアは止めてくれ。カードゲームにでもなった気分になる」
「じゃあ、降谷零じゃなく、安室透的な?」
「ハア」
呆れたようなため息を洩らされた!
「…傷」
「ん?」
「増えたね」
不意に視線が捉えた、一本の長い線。
引き締まった左の二の腕の外側にある、大きな傷の痕に触れる。
処置の仕方が良かったのか、随分と傷痕は薄いけど、これはきっとあの時のモノだ。
コナンくんを助けるために、彼を抱えながらビルに発砲して飛び込んだ時、割れて散乱したガラスで切ったモノだよね?