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*名探偵コナン*短編集*

第1章 *File.1*諸伏 景光*


「将来が楽しみだねえ」
「同感」
「式には呼んでくれよ」
「だっ、伊達君!話が早すぎますっ!」
「……」

オレはしっかりそのつもり、なんだけどな?
この先、キミ以上に愛せる女性なんていない。
そう確信してるよ。

「それから同級生だろ?丁寧な言葉使いは要らねえし、気も使うな」
「で、でも…」
「そういうこと。これから先もずっと宜しくね、望月チャン」
「だったら、私のことは名前で呼んで下さい」
「交換条件ってか?」
「もちろん!」
「くっ。面白え女だな、雪乃は」
「そんなことないよーだ」
「雪乃が可愛いことには間違いないけどな」
「確かにねー」
「ふ、降谷君、サラッとそういうこと言わないで」
「……」

って言うか、当たり前のようにサラッと名前で呼ぶな。

「そういうことなら俺も遠慮なく雪乃って名前で呼ぶが、構わないか?諸伏」
「…どうして、オレに?」
「顔が全てを物語ってるんだが、自覚無しか?」
「!」
「独占欲強すぎ」
「実は執着心が強いタイプ?」
「次も雪乃を連れて来いよ。諸伏の反応がイチイチ面白え」
「絶対にイヤだ」
「おー、拗ねちまったぞ」
「陣平チャンはよくあるけど、諸伏チャンが拗ねるのは珍しー」
「萩原…」
「萩っ!」
「確かに」

ゼロが深く頷いた。

「雪乃は、どうする?」
「みんなが迷惑じゃなかったら、是非」
「……」

えっ?そうなんだ?
咎めるようにじろりと視線を移せば、ニッコリと笑う。

「可愛い」
「はっ?」

可愛い?
それは、大の男に言うセリフじゃ…。

「って、雪乃?!」

ふわりと髪を撫でられて、予想外の雪乃の言動に呆然とするが、

「「「「くっ、ハハハハハッ」」」」

途端に四人揃って、吹き出して笑われた。

「……」

あー、もう限界だ!
財布から万券を一枚取り出してテーブルに置くと、隣に座る雪乃の腕を取った。

「あー、腹痛え」
「次も絶対来てねー!」
「えっ?う、うん」
「ほら、行くよ」
「な、何で?」
「いいから」
「またなー」
「ご愁傷様」
「気を付けて帰れよ」
「あ、ありがと!またね」

人の気も知らず、戸惑いながらも雪乃は手を振り返して襖を閉めた。


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