第11章 電話越しの彼
「じゃあ、これで沖田くんをここに呼びましょ」
そう言って自分の携帯を手に持たされる
『え…え"っ今から!?』
「そうよ、今やらないでいつやるの?」
「今でショ。」
古い、古すぎるよ神楽ちゃん!!
ってそうじゃなくて、いきなり沖田に電話するなんて無理だ!私の心臓的に!!
「会いたいんだロ?」
『そ、そりゃ…でもっ』
「大丈夫よ桜ちゃん。あなたは自分の気持ちだけを真っ直ぐ伝えなさい。それでもし、沖田くんも同じ気持ちなら…彼もきっと来てくれるわ」
真剣な顔で言う妙ちゃんに私は携帯を握り締め力強く頷いた
意を決して携帯開こうとした時
「二次会やるから全員場所移動だってよ」
言いながら土方がこちらにやって来た
どうやら銀八先生の案で二次会は銀魂高校で行うことになったらしい
『でも夜の学校なんて勝手に入って大丈夫なの?』
「銀八が事前に校長には話してあるんだとよ。盛り上がるし良いんじゃねェかってみんなは賛成みてェだぜ」
二次会が銀高なのは妙ちゃんも賛成のようで、上着を着て鞄を持ち、さっそく移動の準備を始めた
「あ、でも少し待ってもらえないかしら。今桜ちゃんが沖田くんに…」
『妙ちゃん、』
言いかけた妙ちゃんの言葉を遮り、私は彼女を見上げた
『私は後から行くから先にみんなと行ってて。
大丈夫、私ちゃんと伝えるから』
「桜ちゃん…」
妙ちゃんはしばらく私を見つめた後、ゆっくりと頷き
「頑張って、桜ちゃん」
そう言って部屋を後にした
それから徐々にみんな部屋から出て行き、その宴会室には私1人だけとなった
『…大丈夫、大丈夫』
自分にそう何度も言い聞かせ携帯の電話帳を開く
"沖田"の文字を見つめ通話のボタンを押すと、そっと自身の耳にあてがった
プルルルル
プルルルル
…出て。
プルルルル
このままなんて…嫌だよ。
プルルルル
話したいよ、沖田…。
プルルルル
お願いだから…出てッ
ギュッと目を瞑った次の瞬間、
プルッ……
『!!』
呼び出し音が止み、心臓がドキッと跳ねる
『……あ、』
どうしよう、声が出ない。
「……吉野?」
『ッ!』
あぁ…やっぱり駄目だ。
声を聞いただけなのに…
『…うん』
嬉しくて堪らない。