第12章 大切なもの【沖田視点】
「土方さん…前にも言いやしたけど、俺は姉上を幸せに出来んのはアンタしかいねェと思ってる…」
「……」
俺は姉上が笑顔でいてくれるなら他には何も望まない。
それが例え俺の気に食わねェ野郎でも
姉上が選んだ男なら間違いはねェって…そう思えるから。
「正直土方さんだけには死んでもこんなこと言いたくなかったんですがねィ…」
- そーちゃん、 -
その笑顔を護れるのは、もうコイツしかいねェんだ。
「土方さん…姉上を…どうか幸せにしてやってくだせェ」
「総悟…」
少し震える手と胸の痛みはきっと前に進めたという証
電話の向こうの野郎は何を考えているのか、少しの沈黙の後ポツリポツリと話し始めた
「総悟…俺は…ずっとアイツに酷いことしてきた…。それはお前が1番わかってることかもしれねェが、アイツの気持ちも知ってて…それでも敢えて知らないフリをしてたんだ」
「…」
「けどお前の言う通り…やっぱりふとした時に思い出しちまうんだよ、アイツのこと。随分まわり道しちまった…でもこれだけは約束する…総悟、俺はこの先どんなことがあってもアイツのこと…」
「んじゃ、切りますね」
「は!?ちょ…オイ!」
プツ
野郎はまだ何か話していたが正直別に土方さんの話が聞きたかったわけではなかった為、一方的に電話を切った
「…。」
ふとした時に思い出す…か。
- 沖田ぁあ!! -
そんなの…
「俺なんてしょっちゅうでィ…」
そう、もしかしたら初めから依存してたのは俺の方だったのかもしれない。
いつも俺についてくるその姿と
偽りのない"好き"と笑顔に。
そうか…
- あの!私吉野桜って言います!!あなたのことが好きです、付き合って下さい!! -
あの頃から俺はもう
- 好きだよ、沖田 -
とっくにあいつに惹かれてたんだ。