第11章 電話越しの彼
『でも今ここにいないってことは沖田はもう…私のことなんて…』
「桜お前、そんなこと気にしてるアルか?」
『そ、そんなこと!?』
突然後ろから現れた神楽ちゃんは私を見つめ呆れたように溜息をついた
「オマエ昔からアイツの気持ちなんて考えてなかったくせに今更何言ってんだヨ」
「そうね、沖田くんに片想いしてた頃から相手の気持ちなんて無視で常に全力でぶつかっていたものね」
『え…私そんなに沖田の気持ち無視してましたっけ!?』
私の言葉に2人は顔を見合わせ再び溜息をつく
「でも私は…私達は知ってる。桜ちゃんがどれだけ沖田くんを好きか」
『…』
「そしてその気持ちは今でも変わってないってことも…ちゃんと知ってるのよ」
『妙ちゃん…』
「だから、あのどんだけ突っぱねられても諦めることを知らないオマエがこんなことでウジウジしてるわけないアル!」
『神楽ちゃん…』
「…好きなんでしょ、沖田くんのこと」
優しく微笑む2人に私は等々堪えきれず、涙を流しながら大きく頷いた
『うんっ…』
結局、自分の気持ちに嘘なんてつけるわけなかった。
例え、もう以前みたいに戻ることが出来なくても
例え、沖田がもう私を好きじゃなくても
私は沖田が…
- 吉野、 -
『大好き…』
この気持ちだけは絶対に変わらない。
私の言葉に妙ちゃんと神楽ちゃんはニコッと笑う
そして…