第10章 緊急会議【歩視点】
「そうそう、まぁでも俺にはわかんないけどね。大体遠距離恋愛でたまにしか連絡も寄越さないなんてそれはもう彼氏とは呼ばないね。フレンドだよフレンド!」
「…」
「ま、沖田くんも振られても仕方ない…」
「オイ」
低めの声がして振り向くと次の瞬間、琴梨ちゃんに頭を鷲掴みにされた
「何勝手にもう桜ちゃんが総悟くんを振ったって決めつけてんねん。あの2人がそう簡単に別れるわけないやろ、しばいたろか」
「ぎゃあああああ!!」
「オイ中村、素が出てる、素が!」
「あっ、いっけね。ごめんなさい…私ったらつい興奮しちゃって」
「いや…全然大丈夫!こちらこそごめんね〜」
ちょ、怖ぇぇぇぇ!!
何この子、豹変ぶりが半端じゃないんだけど!?顔に似合わぬ物言いだったんだけど!
「あ、そう言えばさっきの話なんですけど…昨日私も桜ちゃんに会いました」
琴梨ちゃんはそう言って目の前のコーヒーを一口飲む
「え、何か言ってた?」
「はい…総悟くんに冷たく突き放されたって。涙ながらに」
ちょ、沖田あの野郎…。何桜泣かしてんだ!絶対許さん!
「でもその後は桜ちゃんも元気そうでしたし、問題はなかったと思うんですけど…」
「そっか…ならいいんだけど…」
…あれ?
「ちょっと待って。それだと話がおかしくならないか?だって今までの話からすると振りに行ったのは桜で、沖田くんが振られたわけじゃん?」
「振ってませんよって言ってるじゃないですか歩さん、熱々のコーヒーぶっかけられたいんですか?」
「いや仮にだから!仮にね!?」
「確かに…総悟に突き放されたというのと桜ちゃんが泣いていたというのはよくわからないな…」
そう言ってゴリさんは隣に座るひじ君の方を向いた
「おいトシ、お前何か知らねーのか?」
「そうだよひじ君!さっきから黙ってるけど君も何か知ってるんじゃないのか?桜と沖田くんの様子が変なわけとか…」
「…別れたからじゃないっすか?」
「「「え。」」」
えええええええ!?
「あ、やべ。」
ひじ君の衝撃発言に彼以外のその場にいた全員が固まった