第1章 再会
『さ、最悪だ…!』
トイレの鏡に映る顔はさっき泣いてしまったせいで目は腫れるわ化粧も落ちるわで悲惨なことになっていた。
これは沖田どころか土方にすら見せれる顔ではない。
化粧道具持ってきてたっけ?
鞄の中を探っていると個室から女の人が出てきた
よく見るとそれはさっき沖田と一緒にいた女の子で、私は一瞬心臓が速くなるのを感じた
隣に立って同じく鏡を見つめる女の子は間近で見るとより一層可愛かった。
うわぁ…スタイルいいなぁ。
目もクリクリしてる、睫毛長っ!!
まさにモデルさんのような女の子だった。
こんな可愛い女の子が近くにいたら、 誰だって惹かれるよ…私も惹かれたし。
これは勝ち負け以前の問題だわ…
見てくれ、隣のこの私の顔を。。
とりあえずサッとメイクだけでも直そう。
早起きして時間をかけたメイクも、気合いを入れて着てきたおニューの服も意味のないものになってしまったけどしょうがない
ってあれ?
化粧道具がない…!!
しまった!朝玄関に置いてきちゃったんだ!!
『もうダメすぎる私。。』
「あの~…良かったら使います?」
声のする方を向くと、沖田の彼女(仮)さんが私に化粧道具の入ったポーチを差し出し言った
『えっ?』
「化粧道具…お忘れになったんですよね?あまりお好きな色じゃないかもしれませんが私ので良ければお貸ししますよ」
そう言って遠慮がちに笑う彼女を私は驚いて見つめた
可愛くてスタイルよくてその上優しい…
完璧過ぎる!!!
「…やっぱり迷惑でした?」
『そそんなのことないです!!ありがとうございます!』
ポーチを受け取りお礼を言うと女の子は
"いいんです"と言って笑った。
「デートですか?」
『え!?あ、いや…その』
「フフッ照れてる可愛い」
なんか凄い勘違いされてる!!
「見ましたよ後ろの席でしょ?ちょくちょく目合ってましたもんね」
しかも見てたのバレてた!!
「格好いい人ですね、お似合いですよ」
『えっ…と』
「私もいつかそう言ってもらえる日が来ると良いなって思ってるんです」
ズキッ
『それって…』
「でも私の彼、そういうの苦手な人でよく喧嘩もするんですけど」
そう困ったように笑う女の子に何も言うことが出来なかった。
凄く好きなんだ、沖田のこと。