第9章 衝突
それからしばらくして私が乗る電車がホームへと到着するアナウンスが鳴る
『あ、そろそろ行かなきゃ』
「跳ね飛ばされんなよ」
『あの…別れ際にいつも不吉なこと言うのやめてもらっていい?』
荷物を持って腰を上げ沖田を見つめた
『でも本当に良かったよ。高杉が沖田に話したって言うから沖田が誤解してたらどうしようって思ってたんだ』
「誤解?」
『うん、てっきり高杉とキスしたことで怒ってるのかと思ってたから…でも確かに泊めようとしてたことのほうが重大だよね』
そう言って沖田に手を振りながら改札を通ろうとした時
『ぐあ!』
再びリュックを引っ張られそのまま後ろに尻餅をついた
『ッ!お、沖田?』
「オメェ…今何て言った」
『え?』
「高杉と…いつ何したって?」
…あれ。
『えっと…だから高杉がウチに来た日に…キスを…え?』
「…」
も、もしかして…。
『た、高杉から…聞いてない?』
私は全身に冷や汗が流れるのを感じた
沖田ははぁー、と溜息をつくとゴミを見るような目つきで私を見下ろした
「この…尻軽女」
いやあああああ!!!!
『ち、違う違う違う!!だから誤解なの沖田!』
私は立ち上がり急いで必死に弁解した
『あれはしたんじゃなくてされただけなの!突然だったからビックリしたけど…ほんとそれ以外何にもなくて…それに高杉は友達っ…』
「友達がキスなんかするわけねェだろうが」
『…でも私は高杉のこと…友達だと…』
「じゃあ友達と思ってた奴にキスされて何でお前は冷静でいられるんでィ」
冷静?
私、冷静なの?
だって私は高杉にキスされて…告白されて
どうしたらいいのかって
今でもずっと…。
「満更でもなかったっつーことだろィ」
そんな…こと
『そんなわけ…ないじゃん』
次の瞬間、私は沖田を思いっきり睨みつけた
『私の気持ちも何にもしらないくせに…そんなこと決めつけないでよ!』
「あ?」
叫ぶ私を見つめ沖田は眉間に皺を寄せた
『大体、電話だって全然してくれないし会いに来たら来たらで帰れとかって言うし…そのくせにこうやって引き止めるし…最近沖田の考えてることわけわかんない!』
「それはこっちの台詞でィ。電話しろっつーわりには掛けても出やがらねェし、挙句の果てには男連れ込むし…いい加減にしやがれ」