第8章 本音
さっきまでいたファミレスから沖田の家まではそれほど遠くはなかった為意外と早くに着いてしまった
しかし沖田の家のインターホンを押すだけでさっきからもう15分くらいは家の周りを彷徨いている
そろそろ不審者にみられてもおかしくはない
でも考えたらあの夏祭りの日以来だ、その上今回の事もあってやっぱり緊張する。
意を決してインターホンを押そうとした時
沖田家の玄関ドアが開きドキッと心臓が跳ねた
『やっあのその!えっとこれはごごごめんなさいィ!!』
あれ…私なんで謝ってんだろう…。
「あら、桜ちゃんじゃない!」
そう言って家から出てきた人物はそのまま思いっきり私に抱きついた
『!?み…ミツバさん?』
てっきり出てきたのは沖田だと思っていた為、素っ頓狂な声が出てしまった
「久しぶりね桜ちゃん」
そう言って笑う相変わらず綺麗なミツバさんを見た瞬間、私はニヤニヤが止まらなかった
『ミツバさん…』
「?」
『おめでとうございまぁああす!!』
いきなりの事で最初ミツバさんは驚いていたけど、すぐにその言葉の意味を理解して「ありがとう」と言って笑ってくれた
「それにしても急で驚いたわ。もう少し早く知っていたらお茶の用意も出来たのに…」
『いえいえそんな!私が勝手に来ただけなので…
ミツバさんは今からどこかお出かけですか?』
「ええ、ちょっと十四郎さんと…でもせっかく桜ちゃんが来てくれてるんだし紅茶でも入れるわ。さ、中に入って…」
そう言って再び家に戻ろうとするミツバさんを引き止めた
『いやいやそんな大丈夫です!気にしないでください』
私ってどうしてこんなタイミング悪いんだろう…
ミツバさんと土方のデートの邪魔になるのだけは避けなければ!
「そう?…そーちゃんが帰ってれば良かったんだけど…」
『あ、沖田まだ帰ってないんですか?』
「ええ、今日は部活終わりにバイトがあるって言ってたから…多分帰りはもう少し遅くなると思うわ」
『そ、そうなんですか…』
困ったな…沖田がいないんじゃ話も出来ないし、かと言って沖田が帰って来るの待ってたら帰りの電車が…。
「そうだわ、今からそーちゃんのバイト先に行ってみたらどうかしら?」
『え、沖田の…バイト先に?』
「そーちゃんきっと驚くわよ」
いやこっちの心臓も相当ヤバイんですけど!