第8章 本音
どうしよう…。
何か喋らなきゃいけないのに声が出ない
- 俺はお前とは…もうダチにも元クラスメートにもなれねェ -
先程の彼の言葉が何度も頭の中で繰り返される
- 俺はお前が好きだ -
高杉が…私を…好き…?
- 好きだぜィ桜 -
でも私は…沖田が…。
気持ちを知ってしまったら…もう前みたいには戻れないの?
迷うはずなんてないのに…私は沖田が好きなのに…でも
高杉だって大切な…。
”どちらも大事”なんて思っちゃいけないのだろうか。
「ー…!」
「吉野、」
『あ…ごめ…ん』
高杉の声にハッとなって我にかえった
「…返事はすぐにとは言わねェよ。お前の気持ちも知ってるし…だだ俺が言いたかっただけだ。…だから、あんま思い詰めんな」
『……高杉…』
「それによ、やっぱ返事は直接会って聞きてェ…」
『…うん…、わかった』
「あー…あとそれから」
『…?』
「この話…沖田にもした」
………、
『え。』
高杉の口から出た衝撃発言に私は一瞬思考が停止した
『え、お、沖田に言ったの!?いつ!?』
「丁度1週間前、俺がお前の家に行った日の帰りにな」
1週間前…だと!
『そ、それで、沖田…何て…?』
高杉は一瞬黙ったあと、少し強めの口調で言った
「…それは本人に聞け…じゃーな」
『え、あ…ちょ!』
言い終える前に電話は切れた
やばいやばいやばいぞ!!!
私は急いで家に帰り鞄に荷物を詰める
「あれ、桜お前…んなに慌てて何してんの」
『歩兄!ちょっとかぶき町行ってくる!』
「は、今から!?」
引き止める歩兄を無視して私は家を飛び出した
高杉が沖田に何て言ったのかわからないし、変に誤解されてたら大変だ!!
かぶき町まで電車で片道2時間半!
『歩兄に送ってもらえば良かった…』
大学生とはいえ…往復の電車賃はかなりキツかったりする。
けど、これもそれもあれもみんな沖田に会うためだと思えば苦じゃないはず!
『待ってろ沖田ァアア!』