第7章 強がり少女【沖田視点】
- 総悟くん!絶ー対に浮気しないでよ! -
だから別に…俺はそういうんじゃねェけど…
でも確かに…
…高校を卒業するまでの間、アイツがあまりにも近くに居すぎたからか
あいつのいなくなった今の俺の隣は…いつもポッカリ穴が空いていて
その穴を埋めたくて、
出逢ったあの女を無意識にどこか桜と重ねている自分もいる
「俺って最低ですかねィ」
「うわ、何だよ急に!お前が最低?んなの言われなくても知って…グハッ」
言い終える前に土方の野郎の顔面を殴った
時間が経つのは早いもんで…午後の授業を終えた俺は部活の練習の為、土方さんと道場へ向かっている
「あ、タオル忘れた」
「あ?どこに」
「家」
「家!?」
夏休み明けはバタバタしてたから、ちゃんと荷物の中身確認してなかった…。
「土方さん、俺ァ部活用のタオル今から家に取りに帰るんで先に道場行っといてくだせェ」
「お、おぅ…」
忘れもんしても簡単に取りに帰れるなんて、こういう時家が大学から近いって便利だなと思う
「ただいまァ」
「あら、そーちゃんがウチに帰ってくるなんて珍しい…どうしたの?」
「ちょっと部活で使うタオル忘れたんで取りにきただけです。またすぐ出まさァ」
「そう、頑張ってるのね部活…偉いわ」
そう言って笑い、紅茶を飲む姉上を見つめた
「姉上…何か今日はご機嫌ですねィ…」
「えっ…そう?実はね…今日お昼過ぎに十四郎さんから電話があったの」
「土方さんから…?」
…なんでィ、あの野郎俺の知らねーとこでちゃっかり電話してんじゃねーか
後で部活中がっつり嫌がらせしてやろう。なんて考えていると姉上が静かに口を開いた
「そーちゃん…桜ちゃんにちゃんと電話してあげてるの?」
「え…いや、最近はあまり…」
「…どんなに忙しくても好きな人からの電話って…とても嬉しいことなのよ…だってその人の声を聞くだけで嫌なことも忘れられるし、頑張ろうって思うもの」
- 少しでもしてほしいよ! -
- ずっと待ってるから -
「姉上…」
「?」
「今、幸せ…ですかィ?」
「…ええ、とても」
「良かったですねィ」
そう言って微笑むと姉上もそっと微笑んだ
「それじゃあ、行ってきます」
あんな幸せそうな顔されちゃ…何も言えねェや。