第7章 強がり少女【沖田視点】
「空道…春?」
「あぁ…知らねーかィ?」
翌日の昼休み、次のゼミの教室で昼飯を食べながら俺は中村にバイト先の女のことを聞いた
「ん〜…初耳かも」
「そうかィ」
こいつも知らねェってことはそんな前からあそこで働いてたわけでもねェのか…。
「その子がどうかしたの?」
「…いや、別に。何でもねー」
ボーッと窓の外を見つめる俺を中村は頭にハテナを浮かべ見つめた
「つーかあと5分で授業始まるってーのに土方の野郎まだ来てねェじゃねーか」
「そうだね…もう来るんじゃ…あ!来た来た!」
そう言って中村が手を振る先にはこちらに気づいて同じように手を振る土方さんの姿があった
その片方の手には携帯が握られていて、俺は無意識に野郎を睨んでいた
「またアイツですかィ?」
「あぁ…」
自分から聞いたくせに土方さんの返答に無性にイラついた俺は舌打ちをしてさらにキツく野郎を睨んだ
「…仕方ねェだろ、吉野に頼まれてんだから…」
「別に、ただ近況報告なんてそんな毎日するもんじゃねェと思いやすけどねィ」
俺の言葉に土方さんは溜息をついて席に座った
「んなに嫉妬するくれェならお前がかけてやればいいじゃねーか」
「だ、誰が嫉妬でィ…俺ァただ他人の彼女に電話する暇あんならテメェの女に電話の1本や2本かけれんじゃねーかと思っただけでィ」
そう言うと土方は忽ち動揺し、顔を真っ赤にした
…そういうところも…昔からムカつくんでィ。
「あ、そうだ!総悟くんさっきの話なんだけど…」
「さっきの話?」
中村の言葉に土方さんが反応して言った
「総悟くんのバイト先に同い年の女の子がいるらしいの。どんな子かって聞かれたんだけど…実は私も知らなくって…」
「別にそりゃいるだろ、同年代の奴くらい」
「ちょっと特殊なんでィ」
頭の中で彼女を思い浮かべていると中村が突然立ち上がった
「もしかして総悟くん、その子に言い寄られたりしたの?」
「いや…どっちかってーとあんま男に興味無さそうに見えた」
「そういう女ほど実は腹黒かったりするのよ!ね?土方くん」
「腹黒はオメーだろ。キャラブレ過ぎてんぞ」
「総悟くん!絶ーっ対に浮気しないでよ!したら桜ちゃんのかわりに私がぶん殴ってやるんだから!」
そう決意の炎を燃やす中村を教室中が目を点にして見つめていた