第5章 秘めた想い
『はい、お茶』
ドンッとお茶を差し出すと、彼は黙ってそれを飲んだ
高杉と神威くんは同じ大学で、結局高杉は今日、神威くんとライブに行く為だけにこっちへ来たらしい。
それにしてもまだ半年しか経ってないのに沖田といい高杉といい、何か前より大人っぽく見えるなぁ。
「…ジロジロ見んじゃねーよ、気持ちわりぃ」
『べ、別に見てないし!!』
性格は変わってない…いや寧ろ前より大分悪くなった気がする。
「それで?最近どうなんだよ」
『どうって…何が?』
「沖田と…よろしくやってんのか?」
『…よろしくも何も、お互い忙しくてろくにメールも電話も出来てないよ』
思えば沖田と電話したのなんていつ以来だっけ?
思い出せないくらいしてないってことかな…
私は溜息をついて椅子に腰掛けた
『…沖田不足』
「あ?」
『遠距離って…思ってたより辛いなーって』
「今更何言ってやがる。ストーカー時代よりマシだろうが」
『ちょ、ストーカーじゃないから!見守ってただけだから!そこ大事!!』
というか高杉の中では私の行動は完全にストーカーに見えてたわけか。
『あ、でもねここの生活にも大分慣れてきたんだ。みんな良い人ばっかりだし、叔母さん達ともうまくやれてるし
高杉だってこうやって会いに来てくれたし…寂しくない!』
「…」
『私…まだ高杉にちゃんとお礼言えてなかったね』
「礼?」
『うん…今だから言えるんだけど思えば高杉はいつも私の話ちゃんと聞いてくれてたなぁって…』
「聞いてたんじゃねェ、聞かされてたんだ」
『でも私、高杉が傍にいてくれて心強かった!ありがとうね』
そう言って笑うと高杉は目を逸らした
今彼にもし悩みがあるなら、それが例えどんなものであっても力になってあげたいと思う。
『だから…これからも友達でいてね』
「…俺ァ」
「お前と友達になったつもりねーんだけど」
『酷ッ!?
じ、じゃあこれからお友達ということで…』
「死んでもお断りだぜ」
『なんで!?』
今良いこと言ったのに!
「お前といたらなんつーか…しんどい」
『泣いていい!?』
「…本気になっちまいそうだからな」
『何が?…いだっ』
高杉の言った意味が分からず頭にハテナを浮かべていると頭を叩かれた
「何でもねぇ、宇野しようぜ宇野」
『何で宇野!』