第3章 好きな人
時刻は7時を回り、祭りは大賑わいだった。
そして私も
『沖田!次射的しよう射的!!』
物凄く楽しんでいた。…
って違ぅうう!!何一人ではしゃいでるの私!!子供!?
我にかえって射的の屋台へ向かう足を止めた
「あり、どうしたんでィ…射的しねーのか?」
『あ…う、うん!やっぱりいいや』
そうだよ。せっかくのデートなのにさっきから私の行きたいところばっかりで沖田を振り回しちゃってる。
私だってもうちょっとおしとやかになって…沖田に惚れ直してもらいたい。
『沖田…行きたいお店ない?』
「俺?」
『うん…さっきから私ばっかり行きたいとこ行ってるから今度は沖田が行きたい店行こうよ!』
私の言葉に沖田は少し考えた後、
「じゃあ、あれ」と言ってその店を指差した
…て。
『あれって…射的?』
「何でィ…嫌かィ?」
目を点にする私を見て眉間に皺を寄せる沖田
『い、嫌じゃないけど…』
結局私が行きたいところじゃないのかな。。
「んじゃ行こうぜィ」
そう言って無邪気に笑う沖田に思わず見惚れてしまった
どうも私は彼のたまに見せるその顔に弱いらしい。
私は赤くなる頬を押さえながら沖田の後を追いかけた
「じぃさん、一回頼まァ」
「へい、どうぞ兄ちゃん!良く狙えよ?あ、ちなみにどの商品もレア物だよ?それはそれは苦労しておじさんが手に入れたから簡単に獲られちゃったら悲しいけど…まぁ獲られたら獲られたでまた見つけてくるけどよ、でもなぁ…」
『いやどんだけ獲らせたくないの!?』
おじさんにツッコミを入れてる間に沖田は銃を構えていた
あ…なんか格好良い。
「吉野、何欲しい?」
『えっ…えっと…じゃあ…
お菓子の詰め合わせ。』
私の言葉に近くで様子を見ていた人たちが一斉にずっこけた
「そこはもっと女の子らしいもん選ばんかい!」
『えっ?』
何故かおじさんにもツッコまれてしまった
沖田はお腹を抱えて笑っている
そしてパンっと音がして沖田が撃ち落としたソレを私に渡す
「わりィ手元が狂った…それで我慢しろィ」
私の腕の中には定春のぬいぐるみがあった
『か、可愛い…ありがとう』
「相変わらず笑わせるねィ…お前は」
『?…!!』
ひょっとして私、またやらかした!?