第2章 変わらないもの。
それから数分して気がつくと時刻は午後3時を回っていた
「んじゃ俺らはそろそろ帰るわ」
『え!?』
突然の土方の言葉に反応して振り向いた
「そうだね、せっかくの再会なんだし二人でデートでもしてきたらいいんじゃないかな?」
「ちょ、何言ってんでィ」
土方の言葉に賛成した琴梨ちゃんに沖田もツッこむ
デ、デート!?
「大体今からとか…んなの計画無さすぎだろィ」
「とか言ってるわりに顔にやけてるよ総悟くん」
そう言って笑う琴梨ちゃんの頭を叩く沖田
「痛ったぁ!…別に総悟くんはそう思ってても桜ちゃんはデートしたいかもしれないじゃん!」
"ね、桜ちゃん?"と私の方を向いて言う琴梨ちゃんに私は首を縦に振った
『い…行きたいです!!』
「…。」
沖田は溜息をつくと私の腕を掴み歩き出した
「…行くぜィ」
『あっ!…う、ん!!』
振り向くと土方と琴梨ちゃんが微笑ましそうに私たちを見つめていた
ありがとう、土方!琴梨ちゃん!
「で、とこ行きたいんでィ」
それからしばらく歩いて沖田は立ち止まり言った
『え?何…?』
「だからお前はどこに行きたいかって聞いてんでさァ」
どこ…って…
『どこでもいいの?』
「今日は特別…」
そう言ってそっぽを向く沖田に私は自然と笑みが溢れた
『じゃ、じゃあ…ネズミーランド!』
「却下」
『え…じゃあ温泉?』
「却下」
『カラオケ!』
「一人で行け」
『…沖田の家』
「いいわけねーだろ」
『え?何なの!?全然どこでもよくないじゃん!』
「もっと真面目に考えろィ」
沖田を見つめ溜息をつくと彼は眉間に皺を寄せた
『もうどこでもいいよ、沖田が決めて』
「は?何めんどくさくなってんでィ」
『だって本当にどこでもいいんだもん』
「お前なぁ、俺がせっかく…」
『私は沖田といれればどこだっていいの!!』
沖田は目を見開いて私を見つめる
『そもそも今日だって…私は沖田に会いに来たんだから』
「お前って…
ほんと俺のこと好きだよなァ」
『!!』
俯く私を下から覗きこむ沖田はどこか楽しそうだった。
もう…いっつも私一人だけがドキドキしてるじゃんか
『す、好きですよ!すみませんね!』
悔しい
「…いや」
『え?』