第12章 大切なもの【沖田視点】
バズーカを直に食らい全身黒焦げ、もっと言えば頭がアフロになった土方を俺は無表情で見つめた
「…で、何で土方が俺んちから出てくんでィ。
まさか姉上に手ェ出したりしてねーだろうな」
「バッ、違ェよ!俺はだな…」
「あら、そーちゃん?」
土方が何か言いかけた時、姉上が野郎の後ろからひょこっと顔を出し、目を丸くして俺を見つめた
「ただいま、姉ちゃん」
「おかえりなさい。そーちゃんがウチに帰ってくるなんて珍しいわね」
「明日は休みなんで、1度顔見せにと思ったんです。…急ですいやせん」
「ううん、そーちゃんが帰ってきてくれてとても嬉しいわ。…今丁度ね、十四郎さんに夕食をご馳走してたところなの…」
言いながら姉上はアフロ頭の土方を見つめる
「…十四郎さん…その頭どうされたんですか?」
「…ん?あぁ…まぁ、パーマ失敗した…的な?」
土方さんは俺からの視線を感じ取ったのか、額に汗を掻きながら姉上から目を逸らした
「そうだわ!そーちゃんお腹すいてるでしょう?今日の料理は自信作だからぜひ食べて欲しいの」
「あぁ…それで土方さんを家に…」
「あぁ…ま、まあな!」
俺の言葉に勢い良く頷く土方さん
「へェ、そうなんですかィ。だったら最初からそう言ってくれれば良かったのに〜」
「十四郎さん照れ屋さんだから…」
「いや言う前にバズーカ撃った奴どこのどいつだよ!」
騒ぐ土方の様子に肩を震わせて笑う姉上
あぁ、やっぱり
姉上にこんな顔させることが出来るのはコイツしかいねェんだな…。
俺にはない何かが土方にはあって…
俺がそれを羨ましいと思うように、姉上もこいつのその何かに惹かれてるんだ。