第12章 大切なもの【沖田視点】
バイトの帰り道、俺はあることが頭を過ぎり自転車を漕ぐ足を止めた
そういや最近…姉上に会ってねェな。
基本家から大学が近いとはいえ、顔見せねェでいるってのは余計な心配かけさせちまうかもしれねェし…悪いよな。
「心配…か」
- そーちゃん、私ね…-
俺は姉上に心配される資格なんてないのかもしれない…。
- …十四郎さんとお付き合いすることになったの…-
あの時、土方との交際を心から嬉しそうに話す姉上に対して
- そ…れは…良かったですねィ -
同じように心から祝福することが出来なかった俺は男としても…弟としても最低だ。
姉上が幸せでいる為には土方の存在は欠かせないということを理屈ではわかっていても…どこかで認めたくないとする自分がいた
結局それは、自分が姉上にとっての1番じゃなくなってしまうからで…
俺が
- 沖田大好きッ! -
ようやく手に入れた自分の1番さえ
- 高杉にキスされたの -
- 別れよう、私達 -
簡単に手放しちまうような餓鬼だったからだ。
「…取り敢えず1度顔見せに帰るか…」
明日はどうせ授業もねェし、1日くらい問題ねーだろィ。
姉上と土方の交際も認めたくねェけど、野郎は何だかんだで俺の気持ちもわかってると思うから…俺も認めれるように努力しねェと。
そんで今度こそ2人の交際を祝福してやるんだ。
すっげぇムカつくけど。
それからしばらくして家に着き、自転車を止めると俺は勢い良く玄関の扉を開けた
「…ただいま、」
「あ…」
玄関を開けたと同時に目が合ったその人物は、つい先程まで俺の頭の中にいた…
「ま、待て総悟!」
憎たらしいクソ野郎(土方)だった。
- 俺も認めれるように努力しねェと -
「その…こ、これはだな!」
あぁ…やっぱり。
「前言撤回でィ、死ね土方」
俺はどこからとも無く取り出したバズーカを土方に向け構える
「ちょ、違う!これには理由が!!」
「理由って何でィ、10秒以内に説明しねェとぶっ殺す」
「10秒!?」
急いで言葉を探し始める土方の様子に俺のイライラは更に増してきて
「もうめんどくせぇんで死んでくだせェ」
気づけば5秒も経たないうちに俺は野郎に向けてバズーカを放っていた
「ちょ、なんでだああああ!!!」