第5章 体育祭が!!来る!!…一歩手間
「あるから治くんはそう云ったんだ。きっと僕を人の死に目に遭わせたくないんだろうねぇ」
「質問に」
「何時って言っても、今世では殺してないよ。記憶が無かったんだから」
「今世では、か、」
「治くんたっての願いならば聞き入れない訳には行かないから今世は大人しく過ごすとするよ」
僕は、別に迷惑をかけるつもりは無いんだ。
ただ、一度は失った命をもう一度違う世界でやり直せる事が可能だから、今度は真っ白な道を人助けに粉骨砕身したいと思う。
「彼奴とお前の関係は?」
「死に損ないの自殺嗜好者、かな」
「…そうか」
「先生は目の前で人が死んだことある?」
「あるにはあるが、気持ちのいいものでは無いんでね」
「だよねぇ。者から物へ変わるし、第一美しくない」
「何言ってんだお前」
「目の前で人が死ぬのが当たり前の毎日を過ごしてきた僕にとって、この世界はあまりにも平和すぎるんだよ」
少し雑談をしてから、先生は帰って行った。
仕事があるから、と。時刻は既に夕方から夜に差し掛かっていた。
まだ仕事するんだ。先生って大変なんだね。
去り際に、
『体育祭どうする?』
と、爆弾発言をかましてきたことはもう二度と忘れまい。
それが一番大切な情報じゃないか。
体育祭とはなんぞやってとこからだけどさ。
さーてここでクィィィィズゥゥゥ!!!
今迄の僕の発言は何処からが本心でしょーかっ!??
「本心も何も存在しないのだからね」
病室から見えた月は霞みがかっていたけど、相変わらず美しかった。